経理とはどんな仕事?基本的な役割と業務内容を解説

経理とは

経理は健康診断の役割によく似ています。企業の財務情報を管理し、事業活動を追跡・分析する重要な業務です。 経理部門は会社の資金や資産、借入などの負債を管理し、診断結果を必要としている経営者に向けての報告書作成や、外部へ税務申告などをまとめるなど、各所に報告する役割を持っています。

経理の基本的な役割と業務内容

経理の基本的な役割は、経費の申請や給与の計算などが稟議や給与規定など会社が定めたルールに則っているかを確認しながら、会計や税務など専門的なルールを利用して情報をまとめ、その結果を経営者や税務署などに対して定められた形に整え提供する役割を果たしています。
具体的には以下のような業務を行います。

1.会計データの入力と処理
  • 日記や日記へのデータ入力
  • 伝票作成や経費精算の処理
  • 銀行取引や売掛・買掛金の管理
財務諸表の作成と分析
  • 貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書作成
  • 留意事項諸表の分析と業績評価
  • 予算と実績の比較と偏差分析
税務申告と税務対策
  • 法人税や消費税などの税務申告書作成
  • 税務申告の締切や支払い期限の管理
  • 税節のための税務対策の提案
内部統制と監査対応
  • 内部統制の評価と改善策の提案
  • 内部監査の実施と監査結果の報告
  • 外部監査人の対応と監査資料の提供
予算編成と予実管理
  • 年度予算の策定と予算配分の管理
  • 予算実績のモニタリングと進捗報告
  • 予実の偏差分析と予算見直しの提案

経理システムの管理と改善
  • 会計ソフトの導入とデータの管理
  • システムの改善と効率化の提案
  • データのバックアップとセキュリティの確保
会計とグループ管理の連携
  • 子会社や関連会社との連結決算
  • グループ会社のお知らせ管理と報告
  • 関連会社との取引の監視と調整

経理の仕事「会計」と「財務」の違いについて

「会計」と「財務」は密接な関係がありますが、異なる役割を持っています。
会社によって部署を切り分けたり、おなじ経理部門の中で担当が分かれたりすることはありますが
仕事内容には以下のような違いがあります。

「会計」は、経済活動を記録して制度に基づいて整理する業務

  1. 会計帳簿の作成と管理
    会社の日々の取引や状況を記録し、財務諸表(バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書など)を作成します。
  2. 仕訳と転記:
    取引データを会計帳簿に反映させるための仕訳と転記行う。例、売上の記録や経費の計上などが該当します。
  3. 監査と内部統制:
    会計の正確性と信頼性を確保するために、内部監査や外部監査を実施する。また、内部統制の設計と監視を大切に、会社の資産保護や不正の防止します。
  4. 税務処理
    税務申告や税務計画の策定、税務税務の遵守など税務関連の業務を実施します。

「財務」は、企業の資金調達、資本、投資、リスク管理など、会社の資金全般を管理

  1. 資金調達と資本予算: 会社が資金を調達する方法や資本予算の作成
    資金調達の手段には、例えば銀行融資、株式発行、債券発行などがあります。
  2. 投資評価:投資案件の評価や分析
    投資収益率や現状価値などの指標を用いて、潜在的なリターンやリスクを評価します。機会や収益予算に基づいて、最適な投資ポートフォリオを構築します。
  3. キャッシュフロー予測と資金の計画
    企業の資金を効果的に管理し、キャッシュフローの予測と監視を行います。キャッシュフロー予測に基づいて、適切な資金の確保と運用を計画し、資金不足や過剰な資金の発生を回避します。
  4. リスク管理
    会社のリスクを評価し、適切な対策を講じます。 これには、市場リスク、信用リスク、流動性リスクなどの潜在的なリスクを分析し、保険やデリバティブなどのヘッジし、また、災害や経済変動などの予期せぬリスクに備えるための緊急資金計画も作成します。
  5. 財務分析と報告
    会社の状況や業績を分析し、関係者に対して報告します。また、投資家や金融機関とのコミュニケーションも担当し、投資判断や融資判断のための資料作成を行います。

これらの業務内容からわかるように、会計は主に会社のデータの収集と分析に焦点を当てています。一方、財務は資金の調達、投資、リスク管理など、より戦略的な視点をもっており、会計と財務は密接に関連しており、相互連携して会社の健全な管理を実現しています。

経理職に転職するために必要なスキルや資格

経理職への転職を考える際に必要なスキルや資格には、以下のようなものがあります。

  1. 簿記の知識:会計の基礎である簿記の知識を身につけることが重要です。簿記の基本的な概念や対処の方法を学びましょう。
  2. Excelやスプレッドシートのスキル:データの整理や分析に必要なExcelやスプレッドシートの操作スキルを習得しましょう。
  3. 経理ソフトウェアの使用経験:一般的な経理ソフトウェアの使用経験を持つことは、転職にとても有利に働きます。
  4. 経理に関連する資格・検定:簿記検定や公認会計士などの経理に関連する資格や検定を取得することで、自身の専門性を高めることができます。

これらのやスキル資格を身につけることで、転職先の企業や採用担当者に対して、経理職に必要な熱い能力をアピールすることができます。

経理職のキャリアプランと成長の目安

経理職でのキャリアパスや成長の目安を理解することは、自身のキャリア計画を立てることが重要です。以下に、経理職のキャリアプランと成長の目安の一例を示します。

  1. 初級経理職:基本的な経理業務を担当し、簿記やデータ入力などの過去の業績に焦点を当てて、業務スキルを磨くステージです。
  2. 上級経理職:予算管理や財務分析など計画と実績の差異に関する高度な業務を実施し、加えて財務の専門知識を備えております。
  3. チームリーダー:経理チームの管理やプロジェクトのリードを行い、組織内でのリーダーシップを活動します。
  4. 経理マネージャー:経理部門全体の運営や戦略的な意思決定に携わり、経理部門の成果を管理します。

キャリアの成長には個人の努力や学習が重要ですが、一般的な目安としては、初級経理職から上級経理職に昇進するまでに3〜10年、チームリーダーやマネージャーに昇進するまでにはさらに10〜20年程度の経験が必要とされています。

会社規模による経理業務の違いと特徴

会社の規模や業種によって、経理業務の内容や特徴は異なります。
以下に、会社規模や業種による経理業務の違いをいくつか紹介します。

小規模企業の経理業務
  • 全体的な業務範囲をカバーすることが多いため、多様な業務を担当することがあります。
  • 通常、少数の経理スタッフが経理全般を担当し、日常的な会計作業から諸表の作成までを慎重にする場合があります。
  • 会計ソフトウェアを使用し、日々の取引データの入力修正や給与計算などを行います。
  • 会計のプロセスが比較的簡素で、会計ルールや法的な要件に違反することが主な責任です。
中規模企業の経理業務
  • 専門的な財務スキルが求められることがあります。同様に、複数の部門やプロジェクトの予算管理、分析、税務申告などが挙げられます。
  • 経理部門は比較的大きく、複数の経理スタッフが専門的な業務を担当することがあります。
  • 業種や企業の要件に定める、会計システムの導入改善や、内部統制の設計・監査なども行う場合があります。
大規模企業の経理業務
  • 大規模企業では、経理業務がさらに専門化され、部門ごとに業務が分割されることが一般的です。
  • 国際会計基準(IFRS)や国内の法律上の権利に準拠するため、複雑な会計処理と監査の対応が必要です。
  • 大量の取引データを処理し、統合されたERPシステムや専門の会計ソフトウェアを使用して処理効率を向上させます。

会社の規模や業種による会計業務の違いを理解し、それに応じた業務の遂行能力を持つことが重要です。

経理の業務を効率化するためのツールやソフトウェアの紹介

経理業務は正確性を高めるためや、効率化のために以下のような沢山のツールを利用します。

財務会計システム     決算書を作成するために、仕訳登録や総勘定元帳の作成を効率化
経費精算システム従業員の経費精算を効率化し、申請、承認、精算を効率化
請求書・債権管理
システム
請求書作成と顧客ごとに債権の発生と入金を管理
税務申告システム複雑な計算が必要な法人税や消費税などの申告書を作成
給与計算システム勤怠情報や給与規定を元に、給与明細の作成や年末調整など給与計算プロセスを自動化
データ分析KPIの管理として財務データと売上データや人事データなど複数のデータを掛け合わせ経営意思決定のサポートを行う

これらのツールやソフトウェアを正しく活用することによって、経理業務の生産性を向上させることができます。

給与の給料と給料

経理職の平均給与とキャリアによる給与の変化

経理職の給与は、業界や地域、所属する企業の規模や業種によって大きく異なります。
一般的に初級レベルで年収300万円台から初めて、経験やスキルの向上に伴い、中級や上級の経理職になると年収600万円以上となる場合もあります。
特に超上級のスキルが必要となる上場会社の上級職になると800~1,000万円も夢ではありません。

経理職の評価基準

企業や組織によって異なりますが、経理の仕事の特性から一般的には、経理職の報酬は以下の要素に基づいて評価されます。

業務遂行能力
  • 仕事の遂行能力や生産性: 事務業務を効率的かつ正確に実行する能力や、業務の生産性を評価します。
  • タスク管理と優先順位: 業務の優先順位を適切に管理し、タスクを遂行する能力を評価します。
  • 問題解決能力: 問題や課題に対して適切な解決策を提案し、実行する能力を評価します。
  • 健康管理:経理はルーチンワークが多く、さらに決算時期などの繁忙期では多くの業務が重なります。業務を安定して遂行のための体調管理が特に重要です。
企画提案能力
  • 予算管理とコスト削減: 予算案や予算実績の管理、コスト削減の取り組みを評価します。
  • 収益性と利益率: 収益性の向上と利益率の改善に対する貢献度を評価します。
  • 資金管理とキャッシュフロー: 資金の適切な管理とキャッシュフローの最適化に関する能力を評価します。
報告・説明能力
  • 会計基準と税務法令の遵守: 会計基準や税務法令に基づいた正確な報告や税務申告の遂行能力を評価します。
  • 内部制限と監査への対応: 内部制限の制限や監査への対応能力を評価します。
  • 法的リスク管理: 法的リスクの把握と適切な対応策の提案能力を評価します。
チームワークとコミュニケーション
  • 協力と協働: チーム内の協力や他の配置との協働能力を評価します。
  • コミュニケーションスキル: 適切なコミュニケーション能力や報告書作成能力を評価します。
  • リーダーシップ: チームをリードし、メンバーを指導する能力を評価します。
自己成長と学習
  • 専門知識とスキルの向上: 経理業務に関する専門知識やスキルの向上を評価します。これには、会計基準の変更や業界の動向について常に学習し、自己成長を高めることも含まれます。
  • 継続的な能力向上:財務関連のセミナーやトレーニングに積極的に参加し、自己啓発を継続的に行う姿勢を評価します。
  • 革新への貢献: 新しいツールやテクノロジーの導入やプロセス改善の提案など、革新への貢献を評価します。

企業によっては、個別の評価基準や評価方法を設けている場合もあります。経理職の報酬体系や評価基準については、採用時に説明されることが一般的です。

経理職の収入アップのためのキャリア戦略

専門性の高い経理のキャリアアップには沢山の挑戦が必要です。多くの知識を習得するための自己研鑽を継続する努力と、営業部門と異なり少ないチャンスをいち早くつかみ取る行動力が道を切り開くことになります。 失敗を恐れず自信を持ってキャリアを成功させてください。

以下にアップ戦略を考えてまとめました。

学習とスキル向上

経理職の業務は常に変化しています。会計の法律や規制の変更、新しい会計基準の導入など、常に最新の知識を持つことが求められます。大切な学び、自分の知識やスキルを常にアップデートしましょう。専門書籍やオンラインコース、セミナーなどを活用して学ぶことが重要です。

新しい業務の挑戦

経理職のキャリアは単一の道ではありません。興味やビジョンに合わせて、他の一部や業務領域に将来発展することを考えてみましょう。そのためには、異なる業務経験やスキルの習得が必要となりますので、自己啓発や譲渡の機会を積極的に探しましょう。

リーダーシップとチームワーク:

経理職は単独で業務を行うだけでなく、他のチームメンバーや関係配置との連携が重要です。リーダーシップやチームマネジメントのスキルを磨き、他のメンバーを指導やサポートすることで、組織内での評価や信頼を得ることができます。プロジェクトのリーダーとして責任を持つことや、他部門とのコラボレーションを大切に、チームワークやリーダーシップの経験を積んでいきましょう。

ネットワークとワーキング関係構築

経理職のキャリアを発展させるためには、広いネットワークを築くことが重要です。業界の専門家や同僚、上司、先輩など、経理職と関わる人々とのつながりを活用しましょう業界のイベントやセミナーに積極的に参加し、交流の機会を増やすことで、情報共有やキャリアのアドバイスを受けることができます。また、SNSやオンラインコミュニティなどの活用もおすすめです。や経験を発信し、他の専門家とのディスカッションを通じて学ぶこともできます。

持続的な成長と目標設定:

経理職のキャリアは一度就いたポジションに固定される一方、常に自己成長とキャリアプランの見直しを行う必要があります。現在の仕事に満足している場合でも、自分のスキルや関心が変化する可能性がありますので、将来の展望や興味を追求することが重要です。 定期的なキャリアコンサルティングやメンタリングを受けること自分自身のキャリアを最大限に活かし、充実した職業生活のために、持続的なキャリア管理を意識しましょう。

これらの戦略を実践することで、財務のキャリアを決めて進んでいくことができます。頑張ってください!

経理スキルの資格・検定

経理職におすすめの資格・検定試験とそのメリット

経理職におすすめの資格や検定試験は、専門知識やスキルの証明に役立ちます。以下に、経理職におすすめの資格・検定試験とそのメリットを紹介します。

簿記検定

会計業務の基礎を学ぶための資格です。
仕訳の基本や決算で必要な調整方法などを基礎的なスキルを身に付けることができます。

税務実務検定

法人税や消費税など科目が分かれ税務に関する基礎的な知識と実務スキルを評価する資格です。
税務に関する基礎知識や法律の理解、申告書作成など、税務実務に必要なスキルを身につけることができます。

ビジネス会計検定

簿記と似てますが財務諸表の分析と解釈に関する知識とスキルを評価する資格です。
この資格を取得することで、財務諸表の見方や分析の基礎的なスキルを習得し、企業の状況を把握する能力を高めることができます。

経理の将来性

経理業務の自動化とAIの進化に伴う経理職の将来性

経理業務は自動化やAIの進化の影響を受けつつあります。以下に、経理職の将来性について考える上でのポイントをいくつか紹介します。

デジタル化の影響と経理職の求められる新たなスキル

経理業務の自動化とAIの進化によって、経理職は将来に大きな影響を受けています。

  1. 繰り返し業務の自動化:経理業務の中で決められたことを繰り返し行う(ルーティン業務)は、AIやロボティックプロセスオートメーション(RPA)によって自動化されてきています。
  2. AIによるデータ分析:AIは大量のデータを高速かつ精度良く分析することができるようになってきています。

経理職は自動化やAIの進化によって固定業務が変化する可能性があり、従来より戦略的な思考や知識、意思決定能力といった思考能力とこれらの進化をフォローして業務の中に積極的に取り入れていくシステム管理の能力が重要となっていきます。

まとめ

財務報告は企業の情報収集・処理・分析・意思決定を行う重要な業務であり、経営の基盤を支える役割を担っています。であり、会計とは異なる役割を持っています。経理職に転職するためには、簿記の知識やスキルの習得、経験の積み重ね、資格取得などが必要です。

経理業務は会社規模や業種によって異なる特徴があり、経理業務を効率化には会計ソフトウェアや給与計算ソフトウェアなどのツールの活用が有効です。また、経理業務の自動化やAIの進化により一部の業務は変化するなんと、経理職の将来性は高く、経営者や企業にとって信頼性のあるパートナーとして重要な存在です。 経理職へのキャリアチェンジを考える場合は、経理の基礎知識とスキルの習得を始める、経験を積み重ねながらキャリアの成長を目指しましょう。